新築住宅かし保険
「請負物件コース」
保険の概要
住宅の新築工事を請け負う住宅事業者が加入する保険商品です。
法律で資力確保義務を負う建設業者が義務を果たすために加入するタイプの保険(義務保険)と、次のように資力確保義務を負わない住宅事業者が任意に加入するタイプの保険(任意保険)があります。
- 建設業許可を持たない住宅事業者が新築工事を請け負う場合
- 請負人の属性に関係なく、宅建業者から新築工事を請け負う場合
請負人 の属性 |
注文者の 属性 |
資力確保義務 | 対応する保険 |
---|---|---|---|
建設業者 | 宅建業者以外の 個人・法人 |
あり | 義務保険 |
宅建業者 | なし | 任意保険 | |
建設業者以外 | 問わず | なし | 任意保険 |
被保険者と保険のスキーム
住宅の新築工事を請け負う住宅事業者が被保険者となります。
保険を利用するためには、事前に事業者としての届出が必要です。
保険契約の内容
保険期間
原則として引渡日から10年間 | 保険期間は、住宅事業者が注文者に 瑕疵担保責任を負担する期間と対応しています。 |
保険金額
戸建住宅 | 2,000 万円 (基本) |
3,000 万円、4,000 万円、5,000 万円のオプション保険金額も選択できます。 |
共同住宅 | 2,000 万円/戸 | 住棟あたりの保険金額は保険の加入住戸数を掛けた金額となります。 |
保険の対象
住宅の基本構造部分の瑕疵に起因して事故が生じた場合に、修補等に必要となる費用を対象に保険金を支払います。
保険の対象 | 事故の具体的事象 |
---|---|
対象住宅の構造耐力上主要な部分が 基本的な耐力性能を満たさない場合 |
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対象住宅の雨水の浸入を防止する部分が 基本的な防水性能を満たさない場合 |
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保険の対象となる住宅の基本構造部分
構造耐力上主要な部分 | 基礎、壁、柱、小屋組、筋交い、床版、梁等の、住宅の自重や積載荷重を支える部分 |
雨水の浸入を防止する部分 |
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注文者による直接請求
保険金の請求は、被保険者である住宅事業者が行うことが原則ですが、次のような場合は、特例として注文者が保険金を請求できます。
- 事故発生時に住宅事業者が倒産している場合
- 事故発生後、相当な期間を経過しても住宅事業者が修補等を行わない場合
- ※修補は注文者が選定した代替事業者が行います。
お支払いする保険金の範囲と一事故あたりの限度額
修補費用 | 原状回復に必要な直接修補費用 | |
調査費用 | 事故の発生部位や修補範囲・方法を特定するための調査費用 | 修補金額の10 %(最低10 万円)で上限金額は戸建住宅で50万円、共同住宅で一住棟あたり200万円 |
仮住まい・転居費用 | 住宅の居住者が補修工事のために余儀なくされた場合の 仮住まい費用 |
50 万円/戸 |
その他 | 保険事故を解決するために必要な争訟費用や第三者に対する請求権の保全費用 |
支払保険金の計算式
(支払対象となる修補費用等 – 免責金額(10 万円))× 縮小てん補(80 %) + 調査費用 + 仮住まい・転居費用
- ※注文者の直接請求の場合は、縮小てん補割合を適用しません。
主な免責事由
次の損害に対しては保険金を支払いません。
故意・重過失 により生じた損害 |
被保険者である住宅事業者や、注文者等の故意や重過失を原因とする損害 | ||||||||||
外来の事由等 により生じた損害 |
次の事由を原因とする損害
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||||||||||
家財への 波及損害等 |
住宅以外の家財が壊れたことによる損害や住宅や家財等が使用できなくなったことによる損害 | ||||||||||
事業者が責任を 負わない瑕疵に 起因する損害 |
次の瑕疵に起因する損害(拡大損害を含む)
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瑕疵担保責任とは
2020 年4月1日に施行された改正民法では、「内容の明確化」の一環として「瑕疵」という表現をやめ、請負人や売主に法律上義務付けられる「瑕疵担保責任」について、判例による解釈を明確化するかたちで「契約不適合責任」に変更しました。
一方、品確法と住宅瑕疵担保履行法では、名称の定着等を踏まえて「瑕疵担保責任」や「瑕疵担保責任保険」という表現を引き続き使用しており、対象とする責任の範囲についても変更はありません。
具体的には、同時に改正された改正品確法では「種類または品質について契約の内容に適合しない状態」として「瑕疵」を、新築住宅の供給者が負う構造耐力上主要な部分等に対する担保の責任として「瑕疵担保責任」をそれぞれ定義し、改正住宅瑕疵担保履行法でも、品確法で定義した「瑕疵」や「瑕疵担保責任」の表現を引き続き使用しています。
義務保険と任意保険の違い
義務保険と任意保険は、保険の内容はほぼ同じですが、注文者の資格による故意重過失損害担保の取扱いや、紛争処理等の利用、締結証明書への記載の有無の点で違いがあります。
保険の 種類 |
故意重過失損害担保※ | 紛争処理等の利用 | 締結証明書 | ||
---|---|---|---|---|---|
住まいるダイヤル | 専門家相談 | 紛争処理 | |||
義務保険 | 全件担保 | 利用できる (専用ダイヤル) |
できる | 利用できる | 記載される |
任意保険 | 原則全件担保 (注文者が宅建業者の場合は不担保) |
利用できる (一般窓口) |
できない | 利用できない | 記載されない |
- ※通常は免責となる被保険者等の故意・重過失を原因とする損害について、直接請求の場合に限り保険の対象とする取扱いです。
保険の申込手続き
保険の申込手続きの流れ
保険の申込みは
保険の概要説明
住宅事業者は「概要説明書」を使用して注文者にこの保険の概要を説明し、「契約内容確認シート」に記名押印を取り付けます。この際、住宅所有者に「重要事項説明書」を渡してください。
概要説明は請負契約のタイミングで行うことを推奨しています。
保険の申込み
保険の申込みは建築確認申請や工事届のタイミングで行います。
現場検査
当社は所定の時期に現場検査を行います。検査はハウスジーメンの「設計施工基準」に従って行います。
小規模住宅(階数3以下)
基礎配筋検査 | 共通 | 基礎配筋工事の完了後、コンクリートの打設を開始するまでの間 |
躯体検査 | 木造 | 金物と耐力壁の施工後、石膏ボードと断熱材の施工を完了するまでの間(建て方完了時) |
鉄骨造 | デッキプレートの施工後、コンクリートの打設を開始するまでの間(建て方完了時) | |
RC造 | 屋根スラブ配筋工事の完了後、コンクリートの打設を開始するまでの間 | |
追加防水検査 (オプション) |
外壁の工法による | 防水紙と防水テープの施工完了後、開口部周囲が外壁材で見えなくなるまでの間(防水紙を使用する工法の場合) |
- ※追加防水検査を受けた住宅には保険料に割引が適用されます。また、申込後に検査のキャンセルはできません。
大規模住宅(階数4以上)
基礎配筋検査 | 共通 | 基礎配筋工事の完了後、コンクリートの打設を開始するまでの間 |
躯体検査 (2階が対象) |
鉄骨造 | 2階の床のデッキプレートの施工後、コンクリートの打設を開始するまでの間(建て方完了時) |
RC造 | 2階の床の配筋工事の完了後、コンクリートの打設を開始するまでの間 | |
屋根防水検査 | 共通 | 防水材の施工後、仕上げ材の施工を開始するまでの間 |
- ※階数10 以上の住宅では、躯体検査は10階でも行います。以降、階数が7増えるごと検査回数を1回追加します。(具体的な実施階は17階、24階、31階…。)
保険証券の交付申請
住宅事業者は引渡日が確定したら保険証券の交付を申請し、当社は申請を受けて「保険証券」を発行します。
- (注)手続きに不備がある場合や保険料の支払いがされていない場合、「保険証券」は不備が解消、または保険料の支払いが完了してからの発行となります。
- 被保険者が希望する場合は、保険証券をポータルサイト上で発行します。
(WEB証券) - WEB証券は郵送に要する時間を待たずに発行後すぐに保険証券を受領できます。
- WEB証券は保険期間中いつでもポータルサイトから閲覧することができます。
WEB証券 |
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提出書類
申込時
共通 | 請負契約書 |
契約内容確認シート(指定書式) | |
確認申請書 | |
設計図書等の書類一式 |
提出する設計図書等の書類
木造の住宅 | 現地案内図(付近見取図) |
基本的な図面 (配置図、平面図、立面図、基礎伏図、基礎断面図) |
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防水措置等の状況に関する資料 (矩計図、仕上表、断面図等) |
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地盤調査報告書 | |
鉄骨造・RC造の住宅 共通 | 意匠図および構造図 |
地盤調査報告書(ボーリング柱状図) |
証券交付申請時
通常、提出書類はありませんが、申請までに「契約内容確認シート」を提出していない場合は申請時に提出が必要です。また、性能評価付き住宅の場合は次の書類の提出が必要です。
性能評価付き住宅の追加提出書類 | 建設住宅性能評価書 |
防水工事の施工状況の写真 |
保険期間中に住宅が売却された場合の取扱い
「転売特約」を付帯している場合は、注文者が住宅を売却した場合に所定の手続きを行うことで、住宅の転得者(買主)に住宅瑕疵保険と同内容の保証を引き継ぐことができます。特約は売却発生時に付帯することもできます。
保証を引き継ぐための要件
転得者(買主)に保証を引き継ぐための要件は次のとおりです。
- 住宅事業者が保証書を使用して、転得者に新築時の瑕疵担保責任と同内容の保証を提供すること
- 住宅事業者が倒産等の場合に、転得者が直接請求を行うことについて注文者が同意すること
転売特約の手続き
「保険付保証明書(転得者用)交付申請書」と「転得住宅に関する保証書(指定書式)」を提出して行います。
締結証明書の発行と資力確保措置の状況の届出(義務保険のみ)
宅建業免許を受けている住宅事業者と建設業許可を有する住宅事業者は、それぞれ販売した新築住宅と新築工事を請け負った住宅の引渡戸数に応じて、年1回それぞれの所管行政庁に対する「資力確保措置の状況」に関する届出が義務付けられます。
ハウスジーメンは、年1回の届出に使用する証明書(締結証明書)を発行します。証明書には4月1日から3月31日までの1年間に保険期間が開始する義務保険の加入状況が記載されます。
届出と締結証明書に関する注意事項
- 締結証明書は、当社で1件以上の「請負物件コース」の義務保険の保険証券の発行実績のある建設業者に発行します。
- 「請負物件」と「販売物件」の両方の実績がある場合、締結証明書は「請負物件」と「販売物件」のものを別々に発行します。
- 届出の対象にならないため任意保険の加入状況は締結証明書には記載されません。
- 最後に届出の対象となる新築住宅を引き渡した時から10年間は届出が義務付けられるため、保険証券を最後に発行した時から10年間は締結証明書の発行対象となります。
- ※従来は、資力確保措置の状況の届出は3月31日と9月30 日を基準日として年2回行うこととされていましたが、住宅瑕疵担保履行法の改正により、2021年度から届出は年1回に変更となりました。