新築住宅かし保険
「販売物件コース」
保険の概要
新築住宅(主に建売住宅や分譲マンション)を販売する住宅事業者が加入するかし保険です。
法律で資力確保義務を負う宅建業者が義務を果たすために加入するタイプの保険 (義務保険)と、次のように 資力確保義務を負わない住宅事業者が任意に加入するタイプの保険 (任意保険)があります。
- 宅建業免許を持たない住宅事業者が新築住宅を販売する場合
- 売主の属性に関係なく買主が宅建業免許を持っている場合
売主の 属性 | 買主の 属性 | 資力確保義務 | 対応する保険 |
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宅建業者 | 宅建業者以外の 個人・法人 | あり | 義務保険 |
宅建業者である個人・法人 | なし | 任意保険 | |
宅建業者以外 | 問わず | なし | 任意保険 |
販売時期が新築工事の完了から1年経過以降となった場合は、新築住宅には該当しなくなるため義務保険には加入できませんが、次の期間内であれば売主と買主の属性に関係なく任意保険に加入できます。
建売住宅 | 分譲マンション |
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工事完了から2年以内 | 保険期間中 |
被保険者と保険のスキーム
新築住宅(主に建売住宅や分譲マンション)を販売する住宅事業者が被保険者となります。
保険を利用するためには、事前に事業者としての届出が必要です。
保険契約の内容
保険期間
原則として引渡日から10 年間 | 保険期間は、住宅事業者が買主に 瑕疵担保責任を負担する期間に対応しています。 |
保険金額(支払限度額)
戸建住宅 | 2,000 万円 | 3,000 万円、4,000 万円、5,000 万円のオプション保険金額も選択できます。 |
共同住宅 | 2,000 万円/戸 | 住棟あたりの保険金額は保険の加入住戸数を掛けた金額となります。 |
保険事故
住宅の基本構造部分の瑕疵に起因して事故が生じた場合に、修補等に必要となる費用を対象に保険金を支払います。
保険事故 | 事故の具体的事象 |
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構造躯体部分が 基本的な耐力性能を満たさない場合 |
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対象住宅の雨水の浸入を防止する部分が 基本的な防水性能を満たさない場合 |
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保険の対象となる住宅の基本構造部分
構造躯体部分 | 基礎、壁、柱、小屋組、筋交い、梁といった住宅の積載荷重等を支える部分 |
雨水の浸入を防止する部分 | 屋根や外壁、その開口部の建具のほか、雨水用の排水管のうち屋内を貫通している部分 |
買主による直接請求
保険金の請求は、被保険者である住宅事業者が行うことが原則ですが、次のような場合には、特例として買主が保険金を請求できます。
- 事故発生時に住宅事業者が倒産している場合
- 事故発生後、相当な期間を経過しても住宅事業者が修補等を行わない場合
お支払いする保険金の範囲と一事故あたりの限度額
直接修補費用 | 材料費や労務費等の、住宅を原状回復させるために直接必要となる費用 | 一事故あたりの限度額なし |
調査費用 | 修補範囲や方法を特定するための費用 | 直接修補費用の10 % (最低10 万円で 上限は戸建住宅で50万円、 共同住宅で200万円) |
仮住まい・転居 費用 | 住宅の居住者が修補期間中に仮住まいを余儀なくされた場合の、仮住まいや転居に必要となる費用 | 50 万円/戸 |
その他 | 事故に関する紛争を解決するために必要な 争訟費用や第三者に対する請求権の保全費用 | 一事故あたりの限度額なし |
支払保険金の計算式
(支払対象となる修補費用等 – 免責金額(10 万円))× 縮小てん補(80 %) + 調査費用 + 仮住まい・転居費用
- ※買主の直接請求の場合は、縮小てん補を適用しません。
主な免責事由
次の損害に対しては保険金を支払いません。
故意・重過失により生じた損害 | 被保険者である住宅事業者や、買主等の故意や重大な過失を原因とする損害 | |
外来の事由等 により生じた損害 | 外来の事由や天変地異 |
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地盤沈下等 |
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経年劣化等 |
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住宅の仕様 |
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不適切な維持管理 |
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家財への波及損害等 |
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事業者が責任を負わない瑕疵に起因する損害 | 買主に起因する瑕疵 | 不適当と指摘を受けたうえで買主が採用した 設計施工や資材の瑕疵 |
引渡後の工事の瑕疵等 | 引渡後の増改築工事や補修工事等の瑕疵 |
紛争処理に関するサービスの利用
住宅事業者と買主の間で売買契約や住宅に関するトラブルが発生した場合に、次のサービスを利用できます。
電話相談 | 住まいるダイヤルを利用して、一級建築士の資格を持った相談員に相談できます。通常窓口はナビダイヤルですが、保険付き住宅専用のフリーダイヤルを利用できます。 |
専門家相談 | 弁護士と建築士に対面で相談できる事前予約制のサービスを利用できます。(相談時間は1時間で、原則無料) |
紛争処理 | 住宅紛争審査会による裁判外の紛争解決手続き(ADR)を利用できます。手続きは「あっせん」、「調停」、「仲裁」から選択できます。 |
瑕疵担保責任とは
2020 年4月1日に施行された改正民法では、「内容の明確化」の一環として「瑕疵」という表現をやめ、請負人や売主に法律上義務付けられる「瑕疵担保責任」について、判例による解釈を明確化するかたちで「契約不適合責任」に変更しました。
一方、品確法と住宅瑕疵担保履行法では、名称の定着等を踏まえて「瑕疵担保責任」や「瑕疵担保責任保険」という表現を引き続き使用しており、対象とする責任の範囲についても変更はありません。
具体的には、同時に改正された改正品確法では「種類または品質について契約の内容に適合しない状態」として「瑕疵」を、新築住宅の供給者が負う構造耐力上主要な部分等に対する担保の責任として「瑕疵担保責任」をそれぞれ定義し、改正住宅瑕疵担保履行法でも、品確法で定義した「瑕疵」や「瑕疵担保責任」の表現を引き続き使用しています。
保険の申込手続き
保険の申込手続きの流れ
保険の申込みは着工前(建築確認申請または工事届のタイミング)に行い、引渡日が確定したら保険証券の交付申請を行います。ハウスジーメンは申請を受けて「保険証券」を発行します。
保険の申込み
保険の申込みは建築確認申請や工事届のタイミングでハウスジーメンのポータルサイトから行います。
現場検査
ハウスジーメンは所定の時期に現場検査を行います。検査は「設計施工基準」に従って行います。
小規模住宅の場合は、必須となる現場検査に加えてオプションで「追加防水検査」を追加できます。
- 小規模住宅(階数3以下)
基礎配筋検査 | 共通 | 基礎配筋工事の完了後、コンクリートの打設を開始するまでの間 |
躯体検査 | 木造 | 金物と耐力壁の施工後、石膏ボードと断熱材の施工を完了するまでの間(建て方完了時) |
鉄骨造 | デッキプレートの施工後、コンクリートの打設を開始するまでの間(建て方完了時) | |
RC造 | 屋根スラブ配筋工事の完了後、コンクリートの打設を開始するまでの間 | |
追加防水検査 (オプション) | 外壁の工法による | 防水紙と防水テープの施工完了後、開口部周囲が外壁材で見えなくなるまでの間(外壁材にサイディングやモルタルを使用する場合) |
- ※追加防水検査を受けた住宅には保険料に割引が適用されます。また、申込後に検査のキャンセルはできません。
- 大規模住宅(階数4以上)
基礎配筋検査 | 共通 | 基礎配筋工事の完了後、コンクリートの打設を開始するまでの間 |
躯体検査 | 鉄骨造 | 2階の床のデッキプレートの施工後、コンクリートの打設を開始するまでの間(建て方完了時) |
RC造 | 2階の床の配筋工事の完了後、コンクリートの打設を開始するまでの間 | |
屋上防水検査 | 共通 | 防水材の施工後、仕上げ材の施工を開始するまでの間 |
- ※階数10 以上の住宅では、躯体検査は10 階でも行います。以降、階数が7増えるごと検査回数を1回追加します。(具体的な実施階は17階、24階、31階…)
保険の概要説明
住宅事業者は「概要説明書」を使用して住宅の買主にこの保険の内容のうち買主に関わる部分を説明し、「契約内容確認シート」に記名押印を取り付けます。
概要説明は売買契約のタイミングで行うことを推奨しています。
保険の概要説明は、ハウスジーメンのホームページで公開している概要説明動画を利用して行うことができます。概要説明動画には、「概要説明書」の右上の二次元バーコードから直接アクセスすることができます。
保険証券の交付申請
住宅事業者は引渡日が確定したら保険証券の交付を申請し、ハウスジーメンは申請を受けて「保険証券」を発行します。
WEB証券 |
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- ※手続きに不備がある場合や保険料の支払いが未了の場合は、「保険証券」は不備の解消または保険料の支払後に発行します。
提出書類
申込時
共通 | 確認申請書 |
設計図書等の書類一式 |
- ※通常は「確認済書」の提出を求めていませんが、ハウスジーメンの建設住宅性能評価を利用する住宅の場合は手続上必要となるため、「確認済書」を提出してください。
提出する設計図書等の書類
木造の住宅 | 現地案内図(付近見取図) |
基本的な図面 (配置図、平面図、立面図、基礎伏図、基礎断面図) | |
防水措置等の状況に関する資料 (矩計図、仕上表、断面図等) | |
地盤調査報告書 | |
鉄骨造・RC造の住宅 | 意匠図および構造図 |
地盤調査報告書(ボーリング柱状図) |
証券交付申請時
共通 | 売買契約書 |
契約内容確認シート(指定書式) | |
性能評価付き住宅の追加提出書類 | 建設住宅性能評価書 |
防水工事の施工状況の写真 |
保険期間中に住宅が売却された場合の取扱い
「転売特約」を付帯している場合は、新築時の買主が住宅を売却した場合に所定の手続きを行うことで、住宅の転得者(買主)に住宅瑕疵保険と同内容の保証を引き継ぐことができます。特約は売却発生時に付帯することもできます。
保証を引き継ぐための要件
転得者に保証を引き継ぐための要件は次のとおりです。
- 住宅事業者が当社所定の保証書を使用して、転得者に新築時の瑕疵担保責任と同内容の保証を提供
すること - 住宅事業者が倒産等の場合に、転得者が直接請求を行うことについて新築時の買主が同意すること
転売特約の手続き
「保険付保証明書(転得者用)交付申請書」と「転得住宅に関する保証書(指定書式)」を提出して行います。
締結証明書の発行と資力確保措置の状況の届出(義務保険のみ)
建設業許可を有する住宅事業者と宅建業免許を受けている住宅事業者は、それぞれ新築工事を請け負った新築住宅と販売した新築住宅の引渡戸数に応じて、年1回それぞれの所管行政庁に対する「資力確保措置の状況」に関する届出が義務付けられます。
ハウスジーメンは、年1回の届出に使用する証明書(締結証明書)を発行します。証明書には4月1日から3月31日までの1年間に保険期間が開始する義務保険の加入状況が記載されます。
届出と締結証明書に関する注意事項
- 締結証明書は、当社で1件以上の「販売物件コース」の義務保険の保険証券の発行実績のある宅建業者に発行します。
- 「販売物件」と「請負物件」の両方の実績がある場合、締結証明書は「販売物件」と「請負物件」のものを別々に発行します。
- 届出の対象にならないため任意保険の加入状況は締結証明書には記載されません。
- 最後に届出の対象となる新築住宅を引き渡した時から10 年間は届出が義務付けられるため、保険証券を最後に発行した時から10 年間は締結証明書の発行対象となります。